平飼いの卵 つまんでご卵

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飼料

飼料写真

市販の「完全配合飼料」を買えば楽なのだが、どんなものが含まれているか分からないので(成分表の項参照)、原料を買ってきて自分たちで作るしかない。2~3日に1回作ることになるので本当に大変だ。

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主食にあたるのがトウモロコシ。

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大豆もだいじな蛋白源。これは大豆油を採ったあとの絞り粕。ソイビーン・ミールと呼ばれる。

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カルシウム源はこれ。カキ殻だ。たっぷり加えて丈夫な卵殻を作ってもらう

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塩も必需品だ。以上が「主原料」となる。

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有機農業によく使われる天然資材を、副原料としてこれだけ使う。「つまんでご卵」を生産するうえでの重要なポイントだが、ポイントはもちろんこれだけではない。

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できあがり。ふつうのエサとくらべてよい匂いがする。

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エサはチューブをとおって鶏舎に運ばれる。

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養鶏家の皆様へクイズをひとつ。おなじみの、何の変哲もない鶏の食事風景。この写真の中に卵の品質劣化に関するものすごいヒントがあるが、お分かり?分からない人はクレームのつかない卵を作るのは難しいだろう。我々はその問題の解決にたっぷり12年を要しましたがね。

飼料について

ニワトリの飼料について、当農場の考えを述べます。

〈現状〉

 ニワトリの飼料も、人の食事とおなじで、主にカロリー源である主食と、蛋白源である副食から成り立ちます。
 主食はトウモロコシで、カロリーの多くの部分を供給しています。もちろん蛋白質も含まれていますが、その質は良いものとはいえず、不足するアミノ酸(20種類のアミノ酸の組み合わせで体を作る蛋白質は構成される)を他の飼料で補ってやらねばなりません。また、黄身に黄色い色をつける、という栄養素以外の大切な役割も担っています。
 当社ではnon-GMO(遺伝子組み換えでない)のトウモロコシを使用しています。

 副食の大きな部分は、大豆粕です。大豆粕は別名脱脂大豆とも呼ばれ、人間の食用に油を絞った後の大豆です。油をとった分カロリーは減っていますが、蛋白質をはじめとする他の成分は、丸々残っており、ニワトリにとって大事な蛋白源飼料となっています。
 大豆に不足しがちなアミノ酸 を、魚粉(イワシやスケトウダラの乾燥粉末)で補う養鶏場も多いのですが、当農場では使用していません(巷では「植物性飼料」といっています)。
 当社ではnon-GMO(遺伝子組み換えでない)大豆を使用しています。

 このほか不足しがちなビタミンや、ミネラルも加えています。ミネラルの原料は、海底に堆積した岩石を粉末にしたもので、海水のミネラル等がそのまま含まれています。塩もわずかですが、必要な量を加えています。

 あと、大切なのはカルシウムです。炭酸カルシウムはニワトリの骨や卵殻の主成分にあたります。当農場では、主に牡蠣殻(カキガラ)を使用していますが、多くの養鶏場では同じ成分である石灰岩を使っているようです。

 以上でニワトリが健康に暮らし、1羽が年に300個も産卵するための飼料は完成ですが、私どもにとってはそれではまだ満足できません。
 生まれた卵を「つまんでご卵」にしなければならないからです。
 卵の質は、8割は飼育環境で決まる、と私どもでは考えています。環境が一番大事な要素なのですが、残りの2割は飼料です。
 私どもが黄身の色を整える目的で使用しているのは、パプリカの粉末とその抽出物です。パプリカの「赤色」を加えることで、トウモロコシに含まれている「黄色」と合わさって、あの燦然と輝く「オレンジ色」が発現するのです。
 なぜわざわざオレンジの黄身にしなければならないのか、など私の思い入れについては、九州大学の佐藤剛志先生と私の共著である「金の卵」(築地書館・1600円)をご参照ください。
 そのほかに「つまんでご卵」の質や味を良くするための微量要素として、何種類かの「自然農業」に使われる資材を使っていますが、これは企業秘密に属します。

 ちかごろ「つまんでご卵を作るのに、何か薬を使っているのではないか」というようなうわさが流れているようで、私どもの耳にも時折聞こえてきます。そうでなければ、あのように摘めるほどの品質にはならないはずだ、というのです。
 いうまでもなく、つまんでご卵を産むニワトリたちには、飼料以外のものは、いっさい食べさせていません(ミミズなんかは勝手に食べているようですが)。
 当社が平成元年にはじめて農場を拓いたとき、まだエサを混ぜる機械がなかったので、JAの市販の飼料を使っていました。いわゆる「完配」というやつです。そんな既成のエサでも、平飼いのニワトリは、評判になるほどの卵を産んでくれました。当時はまだ黄身を摘んではいませんでしたが、試みたならきっと摘むことが出来たはずです。私にはそのとき、はっきりと分かったのです。
「卵の品質はエサで決まるのではない。環境で決まるのだ」と。

〈理想〉〈近い将来〉

 現在、牛・豚・ニワトリすべての家畜用の飼料は、ほぼ100%輸入に頼っています。干草はもちろん、藁(わら)まで輸入しています。ただ、日本で口蹄疫が発生した折、北朝鮮から入ってきた藁にウイルスがついていたのではないか、と疑われたこともあり、現在〈平成24年〉では藁は燻蒸処理した中国産のみ輸入されています。

 現在の状態は、一見日本で肉や卵などの畜産物が生産されているように見えますが、その実態は「輸入」されているのと同じことです。つまり、日本の畜産は薄氷の上に立っているような、非常に脆弱なものだというほかありません。
 しかも地球は近ごろ、進行する温暖化の影響なのか、大規模な異変が相次いでいます。オーストラリアなど、今後も安定した食料の生産基地としてやっていけるのか、心配になるほどです。気象はこれから、ますます荒れ狂うことでしょう。
 こんな時代に、日本は大事な食糧を他国に依存していて良いのか、考えさせられますね。世界的に見ると、食料が回ってこない国や地域が、まだまだあるようです。私たちは、そんな人たちから、食料を奪いとっているのではありませんか?それも家畜の飼料用に。

 それでは輸入に頼りきっている家畜用飼料の代わりを、私たちは見つけることが出来るのでしょうか。国産で飼料をまかなう。そんな夢のような方法があるのでしょうか。
 あるのです。
 そしてそれは、特別な方法ではありません。
 田んぼで作るのです。しかも、その作物は「米」です。
 毎年のように日本人一人当たりの米の消費量が、減ってきています。米の生産者価格も下がり続けている影響も加わり、全国的に遊休田が増えています。この田んぼを利用して、飼料用の米を作るのです。

 ある学者は、遊休田で現在の畜産生産量の80%がまかなえる、と計算しています。
 もっともトウモロコシを米に100%置き換えられるのはニワトリだけで、豚や牛の場合、3~4割しか置き換えられないそうですが。全部米に換えることが出来ない理由は、米を多くすると、生産される肉の脂肪が、現行の品質基準(規格)からみて低いものになるからなのだそうです。

 もし、今日本人が消費している畜産物の80%もが、田んぼで出来る米でまかなえるとしたら、すごいことになります。
 なんといっても、現在ある農地(田んぼ)で、主食と副食〈動物性蛋白質)が自給できてしまうのですから。これで、食糧安保の問題が解決してしまうではありませんか。
 優れた技術であらゆる製品・資材を作ることの出来る日本が、食糧まで自給してしまうのですから。もう、怖いものなどありませんね。

 ただ、この方法を実行するためには、国民的なコンセンサスを得なければなりません。今まで、飼料を輸入に頼っていたのは、価格が安いからにほかなりません。飼料米を、安い輸入トウモロコシの価格で畜産家に供給するには、田んぼ1反歩あたり8万円ほど補助金をつけなければなりません。その制度を、多くの国民が「いいね」と認めてくれなければ、成り立たないのです。

 アメリカにしてもEUにしても、農業に巨額の補助金を出しています。そうしなければ、先進国の農業は、開発途上国に価格で勝てないから、です。要は、補助金をいかに有効に活用するかです。

 さあ、どうしますか。どうせ出さなければならない補助金を、田んぼに回しますか。それとも、安い飼料をこれからも輸入し続けますか。それとも、いっそのこと安価な畜産物を輸入して済ませますか、シンガポールやブルネイや中東の諸国のように。
 でもそうすれば、経済的ではあるでしょうが、確実に国土が荒れてしまうでしょうね。田んぼが激減すれば、日本や日本人を成り立たせている「風土」も変わってしまうかもしれません。

 多くの国では、「農業」は 「自然」と対立する概念になっています。つまり農業は自然を壊すことで成り立つ、という考え方なのです。それに反し、わが日本では、「農業」は「自然」の一部であるとみなす考えが一般に見られます。農家のおじさんがインタビューを受けて農地を指差し「ほら、こんな自然がいっぱい・・・」といっているのを聞いて私は確信しましたね。日本人の中では、農業や農地は自然の一部なんだと。

 そんな農業の中でも、保水など重要な役目も担っているのが、日本の田んぼです。
消費者であるみなさんも、飼料米制度の話が出たときには、ぜひ私どもの後押しをしていただくようお願いいたします。

※この項のポイント:

1、田んぼでカロリーと蛋白質が自給できること
2、日本の自然や風土が守れること

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